「とりあえず安い変動金利」でいい?そのリスクとコスト。

住宅ローンを検討していくうちに、よく耳にするのは変動金利タイプかもしれません。
というのも不動産業者が紹介をする場合「月々の支払はたったこのぐらいで済むので賃貸と変わりませんよ。」という数字は変動金利の場合が殆どだからです。

これは何故かというと、その理由の一つは変動金利が固定金利よりも一般的に低いので提示額を低くできるからです。
月々の支払額を小さく見せた方が購入意欲は高くなるのである種、売り手としては当然かもしれません。

また、金利は長い期間低下してきており、結果としては良い選択であったということもいえるかもしれません。ただ、借りた後はその先数十年に渡る支払いが借り主の全責任となるので、流れにのらず一旦立ち止まってしっかり掘り下げてみて下さい。

変動金利の基準となる短期プライムレートはこの約8年は1.475%と変動がありませんが
実際の住宅ローンの変動金利は下落基調で推移してきました。下記のグラフではS銀行の金利推移が反映されていますが、これは住宅ローンを収益源とする金融機関同士の顧客獲得競争が高まり優遇金利の割引幅を大きくしてきたことが一因として挙げられます。金利0.5%前後となっておりこれ以上下げる余地がかなり小さくなっていることがみてとれます。

一方で固定金利の基準となる10年国債金利とフラット35の推移も下記グラフに表示しています。ほぼ同様の動きをしています。ここで特筆すべきは、平成28年3月から10年国債はマイナス金利に入り11月までその状態が継続しました。まだ記憶に新しいことと思います。
これは、購入して最後まで保有すると確実にマイナスになるという状態で、一般人からするとなかなか理解しづらい状況まで利回りは下落しました。
当時日銀の黒田総裁は異次元緩和という方向性でマイナス金利の局面でも積極的に推し進めるという意向だったため機関投資家がそれでも買い進めたと記憶しています。
しかし、他の一部メンバーや運用利ざやを稼げなくなる金融機関等の反対意見もあり、そこからはゆりもどしがあったように見受けられます。
現在は、長期国債の金利目標は0%としており当面はどちらにも大きく動かしづらい状況かもしれません。


物事に絶対はありませんし、マイナス金利まで進むとは多くの人は思っていなかったでしょう。市場も時に予想を超えることは歴史上ではたびたびありました。
ただ、大きいブレが生じた時、揺り戻しがあるのも経験しています。

最後まで保有すれば損をするというマイナス金利の状態を考えた時、そこから下げる余地はどれだけあると考えられるでしょうか。今や底に近いという考え方はできるかもしれません。それでは、上昇のサイクルにすぐ入るかというと物価上昇や賃金の推移、経済環境をみてもそう簡単にいきそうもありません。

一方で、目を移すと米国では政策金利の上昇が見込まれています。
どの時期に日本が金利上昇のサイクルに入るのか、果たして入ることがあるのか、を予想することはとても難しいですが、住宅ローンを組むということは、必然的にこの先20年~35年という長期契約に入るということになりますので検討せざる負えません。

下記に例として上昇した場合の例として挙げてみます。
当初0.5%で4年目以降1.5%で推移、2.5%で推移、4年目~3年経過ごとに0.5%づつ上昇して16年目で3%に達しそこから3年経過ごとに0.5%づつ下落し28年目から1%で推移するというパターンで見てみます。
もちろん、可能性としてはこれよりも短期に上昇や下落、あるいは変動しないなど様々です。

金利 総支払利息額

変動金利0.5%

451万円
変動金利
1年目~0.5%
4年目~1.5%
1268万円
変動金利
1年目~0.5%
4年目~2.5%
2161万円

変動金利
1年目~0.5%
4年目~1%
7年目~1.5%
10年目~2%
13年目~2.5%
16年目~3%
19年目~2.5%
22年目~2%
25年目~1.5%
28年目~1%

1592万円
全期間固定 1.1% 1026万円

住宅ローンの金利タイプの選定にあたっては、各自が先を見据えて、「歴史的には最も低い金利に近い現在の固定金利の水準で金利を確定させておく」、「この先も現状維持がずっと続くか、もしくは下落すると見込んで変動金利をとる」等、方針をしっかり立てて下さい。
変動か全期間固定だけではなく、もう少し計算は複雑になりますが10年固定や15年固定その他比較的短い固定期間の金利タイプも候補に入れてみると良いかもしれません。繰り上げ返済余力のある世帯の場合、有力な選択肢となることがあります。
考え方を裏付けて明確にするために、完済時がいつごろになりそうか、繰上返済はできそうか、上昇した場合にはどのような影響があるのか、それぞれのケースで総返済額はどうなるのか等をシミュレーション上の数値でしっかり分析し、納得のいく選択を目指しましょう。

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