団体信用生命保険(団信)に入れば全体の保険料を削減できる?

住宅購入に際しては、保険の見直しを行うことが一般的です。
というのも住宅購入で借入をするには、全期間固定住宅ローンのフラット35等を除き、団信に強制加入となるケースが殆どだからです。
仮に住宅ローンの借入額が4000万円であれば、同金額から住宅ローンの借入残高に合わせて低減していくタイプの保険に入ったことになります。

全体の適正な保障額を算出するには、将来にわたる必要保障額を把握することが、まず第一段階となります。これには、万が一後の生活費や教育費、住宅費用等の将来推移に対し、配偶者や遺族年金等の収入と資産の推移を考慮し、実質的に遺族が生活していくうえで不足する費用を出していきます。

仮に必要保障額が1億円だった場合、4000万円の団信に加入すると6000万円が必要保障額となり、この金額に対応した保険を用意すればよいということになります。もともとの必要保障額が4000万円であれば、団信だけでカバーでき、その他の保障は必要ないということもあり得ます。

例えば共働きのご世帯で配偶者が高収入の場合などは、必要保障を算出してみても、思っていらっしゃるほど大きく必要ないケースもあれば、逆に経営者や個人事業主など事業保障や債務保証などを考えると数億円が必要なケースなど様々です。

ご相談時にお伺いすると、保険にはなんとなく入っていらっしゃるというケースが意外に多いのですが、過剰になっているケースやその逆などごく普通に見受けられます。
必要保障額の違いが大きいと、当然保険料も大きく違ってくるため、本来の必要保障額の算出と団信保険金の把握は、保険料の適正化のための重要な一歩となります。

また、団信の保険金は住宅ローンの組み方によっても変わってきます。
住宅ローンを申し込む際には、

①連帯保証
②連帯債務
③ペアローン

の組み方がありますが①の連帯保証の場合は、契約者のみ団信に加入し、連帯保証人は団信の対象となりません。

②の連帯債務の場合、主契約者の万が一の場合に全額に対して保障を受けることになり配偶者の場合には保障がありません。連帯債務の場合は、2人の収入見込みを前提として借入額と返済計画が組まれているはずなので、この状況で配偶者に万が一が起こると相当なリスクとなり得ます。

このリスクを軽減するため、例えば全期間固定金利のフラット35では、デュエット(夫婦連生団信)という形で連帯債務者のどちらかに万が一が起こった場合に全額が返済される団信のタイプを用意しています。
それぞれのタイプの特約料例は以下の通りです。

算出例

住宅ローン借入額  3000万円
金利  1%
期間  35年

デュエット(夫婦連生団信)なしの場合

 年

特約料

 年 

特約料

特約料

 年 

特約料

1年目

107,300

11年目

80,600

21年目

50,200

31年目

16,500

2年目

105,500

12年目

77,700

22年目

47,000

32年目

12,900

3年目

102,800

13年目

74,800

23年目

43,700

33年目

9,300

4年目

100,100

14年目

71,800

24年目

40,500

34年目

5,700

5年目

97,400

15年目

68,800

25年目

37,100

35年目

2,000

6年目

94,700

16年目

65,800

26年目

33,800

7年目

91,900

17年目

62,800

27年目

30,400

8年目

89,200

18年目

59,700

28年目

27,000

9年目

86,300

19年目

56,600

29年目

23,500

10年目

83,500

20年目

53,400

30年目

20,000

デュエット(夫婦連生団信)ありの場合

 年

特約料

年 

特約料

 年

特約料

年 

特約料

1年目

167,000

11年目

125,400

21年目

78,100

31年目

25,700

2年目

164,000

12年目

120,900

22年目

73,100

32年目

20,100

3年目

159,900

13年目

116,400

23年目

68,100

33年目

14,500

4年目

155,800

14年目

111,700

24年目

62,900

34年目

8,800

5年目

151,600

15年目

107,100

25年目

57,800

35年目

3,100

6年目

147,300

16年目

102,400

26年目

52,600

7年目

143,000

17年目

97,600

27年目

47,300

8年目

138,700

18年目

92,800

28年目

42,000

9年目

134,300

19年目

88,000

29年目

36,600

10年目

129,900

20年目

83,100

30年目

31,200

上記のケースでは、1年目で見るとデュエット(夫婦連生団信)なしの場合の特約料が107,300円、ありの場合が167,000円となります。2人分なので2倍とまではいきませんが、約1.556倍です。

この選択をすると、

1.特約料は当初高く減少していく
2.住宅ローン残高分までどちらかに万が一があった場合全額保障される

ということになります。
これを民間の保険を活用した場合、

1.「年齢、性別、健康状態等による保険料の違い」
2.「保険料支払額が支払期間中は同額であること」
3.「自由に保障額を設定できる」

という特徴を生かして支払保険料の削減を図ることができる場合があります。

状況によっては民間の保険よりもフラット35の団信の方が良いこともあります。
フラット35の団信に加入する場合でも、同様に本来の全体の必要保障額からその加入分は削減でき、全体の保険料の見直しを図ることができます。

民間金融機関の連帯債務で申し込む場合は、通常は主契約者が団信の対象になってきます。
従って配偶者の必要保障分をカバーするために、民間の保険から検討することが多くあります。

次に③の「ペアローン」のケースですが、保障されるのはそれぞれの各契約者がご自身の住宅ローンとして借り入れている残高までとなります。
上記の借入額のケースで仮に住宅ローンの借入額が世帯主50%、配偶者50%ずつとして、世帯主に万が一が発生した場合、世帯主の借入分については団信が支払われますが、残り50%の配偶者分の住宅ローンは残り支払が続くことになります。

必要保障額の算出が第一ステップですが、この場合も片親での継続的な住宅ローンの支払いは家計の圧迫に繋がることがあります。

このケースでは場合、残り50%分の住宅ローン残高について民間の保険で双方が掛け合うことにより、フラット35のデュエット(連生団信)に近い保障とすることができます。
また、その場合も保障額の設定は自由なため、必ずしも住宅ローン全額ではなく、本来必要な金額をカバーすることで最適な組み方に近づけていくことができます。

保険料支払額は生涯で見ると大きな支出の一つです。
「生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成27 年度)による世帯平均保険料」によると38.5万円/年となっています。
月額では約3.2万円程です。
月額にするとそれほど大きく見えないかもしれませんが、この平均値を仮に30歳から65歳まで35年とすると生涯では…

なんと約1347万円となります。

ただ、保険料の金額自体よりもどう組むのかが重要で、この保険料がすべてなくなっていくものなのか、資産として蓄積されていくものなのか等によっても意味が全然違ってきます。

一方で、「何とかなる」と根拠なく削減すれば、本来守るべき家族への保障ができなくなる恐れがあります。

人生で保険は最も大きい買い物の一つであるだけに、合理的に保険料を適正化していくことが、ライフプランから見た上で重要な決定の一つといえるでしょう。

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