両親からの住宅取得資金援助で贈与税が290万円?間違いのない贈与計画

みなさんが日々善い行いを続けていると、時に思わぬ幸運が訪れることがあります。
ある日、思いかけず数百万円が転がりこんでくるということもあるかもしれません。
実は、住宅購入のご相談の中でも、思いもよらず両親から住宅取得資金を援助してもらえることになった、というケースがあります。

数百万円違うと住宅ローンの組み方や返済計画、将来のキャッシュフローも大分変ってくる可能性があるので、ご両親には大感謝ということになります。

しかし、日本には贈与税という、贈与額が多くなればなるほど高率で課税される制度があり、通常の贈与であれば相当な税額を収める必要がでてくる可能性があります。

そこで今回は、上記のような状況にいらっしゃるご家族に役にたつかもしれない内容です。

実は、日本にある金融資産は高齢者の保有割合が高く、景気浮揚につながる活発な消費に繋がっていない、という懸念が政府にあり、若者世代へ移転させようという政策がいくつかとられています。
その内の一つが、両親あるいは祖父母から子供、孫世代への住宅取得資金の援助について非課税枠を設けるというものです。

それでは、そもそも普通にお金を贈与されるとどのような贈与税はどのように課税されるのでしょうか?
以下が直系尊属(祖父母や父母など)から20歳以上の子や孫へ贈与した場合の税率表です。
税率は下記の通り金額が多くなればなるほど税率も上がる累進課税となっています。

贈与額に対する概算の税額は下記の通りです。
もともと110万円以下は非課税の贈与枠があるので、適正な贈与手続きを踏めば税金はかかりません。
ただ、贈与したという意志や行為だけでは否認されて、思わぬ課税が将来発生する可能性もありますので注意が必要です。


それでは直系尊属から住宅取得資金援助を受けた場合の非課税枠についてみてみましょう。
平成29年現在では省エネ等住宅が1200万円まで、それ以外は700万円となっています。


ちなみに「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準の
① 断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、
② 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又は
③ 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であること、

につき、一定の書類により証明されたものをいいます。

省エネ等住宅の1200万円の非課税枠と、もともとある非課税枠110万円を加えた1310万円、または一般住宅の700万円と110万円を加えた810万円は、住宅取得以外で普通に贈与してもらった場合はいくら贈与税がかかるでしょうか?

1310万円に対して290万円
810万円に対しては120万円

の贈与税を支払うことになります。

ところがこの「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」制度を活用できれば非課税となるわけで、大きい効果であることは間違いないでしょう。

ところで、消費税が平成29年4月1日に導入される予定でしたが、平成31年10月まで延期されることになったのは皆さんご存知の通りだと思います。

実は延期決定前に“消費税の導入を心待ちにしている”、というご家族もいらっしゃいました。
なぜかというと、消費税10%が導入された場合には、省エネ等住宅は3000万円まで、その他一般住宅であれば2500万円までの非課税枠に拡大するという政策が実行予定だったためです。

消費税が上がると消費が落ちることが予測されます。
新築住宅購入の建物部分が3000万円であれば2%上昇すると60万円分の消費税が増えるということになります。

非課税枠の拡大はこの落ち込みに対応するための一つの消費喚起策ですが、ご家族の状況があてはまれば、この贈与税の軽減効果は、消費税の増税分よりもかなり大きいともいえます。

ちなみに、普通にこの3000万円という金額を贈与してもらうと、贈与税はどれぐらいになるでしょうか?
税額は何と”1036万円”です。

このご家族にとっては消費税の増加分よりもはるかにインパクトがあることがわかります。
残念ながら消費税の延期と共に購入計画と贈与計画も修正となりました。
この非課税の贈与枠は下記の日程に先延ばしとなっています。


また、贈与には正式な手続きを踏む必要があり、次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。

受贈者の要件

この制度を活用する場合の要注意点をいくつか下記に挙げます。

1.(1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。

「直系尊属から」の贈与ですので、配偶者の両親等からの援助は該当しません。
両親や祖父母からの贈与分は、直系の子供や孫が受領し、その金額の持分は贈与された子供や孫の名義での登記に反映させる必要があります。

6.(6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
8.(8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

この贈与のタイミングを間違えるとこの非課税枠の対象とならない可能性があるので注意して下さい。
例えば年末に贈与してもらったものの、翌年の3月15日までに家屋が完成していない場合は適用対象とならない恐れがあります。
もし、完成がずれこみそうな場合は、贈与するタイミングを翌年にすれば1年猶予が生まれることになります。


居住用の家屋の新築、取得又は増改築等の要件

注意点としては、中古住宅を購入する場合、下記の条件を満たす必要があります。
「築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの」

一般の木造住宅であれば築20年、鉄筋コンクリート造のマンション等は築25年を超えると上記の要件を満たしませんが、「耐震基準適合証明書」を取得することによって上記の要件を満たすことができる可能性があります。

 

非課税の特例の適用を受けるための手続

住宅取得用資金の贈与を受けた際には、翌年の確定申告で上記の必要書類とともに提出することを忘れないでください。


このように、どのような政策があり、どのタイミングで施行されるかということを把握し、対策をとっていくということは、ライフプランのキャッシュフロー表上でも大きなインパクトを生み出す可能性があります。
状況や条件に合うようであれば、政府が積極的に進めようとしている政策も活用していきましょう。

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