住宅ローン控除は個人の方にとっては最も大きい減税対象となる可能性のある制度の一つです。
2021年まで控除額が住宅ローン額の1%でしたが、近年の0%代前半の金利下では支払う利息よりも控除額が上回り利益がうまれる状況となり得るため、本来の趣旨と異なるという批判もでて
2022年の改正に反映されました。
目次
住宅ローン控除2022年の内容、要件
2022年の住宅ローン控除の内容、要件は以下の通りです。
借入限度額
持続可能社会に向け、質の向上によるストッ型の住宅や省エネルギー性能の基準の高い住宅等への控除額が高く設定されています。
新築住宅(業者が買い取って再販売している中古を含む)は4タイプ、中古住宅は2タイプの基準にわかれ借入限度額も異なります。
最大控除額は長期優良住宅の住宅ローン5000万円に対して、控除率0.7%で年間35万円の控除となり、控除期間13年の合計は455万円となります。
一方で省エネタイプの住宅ではなく一般の基準となる場合の最大控除額は、住宅ローン3000万円に対して、控除率0.7%で年間21万円の控除となり、控除期間13年の合計は273万円となります。
住宅の持ち分や住宅ローンの借り方によって最大控除額も変わってきますのでしっかりと準備をしておきましょう
所得要件
所得2000万円以下の方
建築年月日
1982年以降の建築年月日の建物(新耐震基準)
床面積要件
50㎡(新築の場合、2023年までに建築確認)
40㎡(所得要件:1000万円)
個人住民税控除額
最大9.75万円(課税所得×5%)
所得税から控除額が引ききれなかった場合に、住民税から控除されます。
住宅ローン控除の対象となる住宅のタイプ例
省エネ等住宅の基準とは
省エネ等住宅とは、
①断熱等性能等級4以上若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること
であることをいいます。
ZEH水準省エネ住宅の基準とは
省エネ性能がZEH水準(断熱等性能等級(断熱等級)5かつ一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)6)であることのみが求められており、太陽光パネルを設置する必要はありません。
尚、この基準とは別に東京都では新築住宅の太陽光発電の義務化に向けた議論が進んでいます。
〇 2022年6月23日現在では制度の検討中で決定はされていない。
一般から意見を募るパブリックコメントを実施中で、6月24日(金)に締め切りへ!
〇 検討中の案は、年間2万㎡以上の建物(住宅・ビル)を建築する大手事業者(50社程度の見込み)
〇 設置費用は4kWで約92万円
電気代削減と売電により、10年程度で賄う。
〇 標準的な戸建住宅に4kWの太陽光発電設備を設置した場合、電気代削減と売電により、毎月1万円(2人以上世帯の家庭)の電気代が7,700円、年間では92,400円もお得。
※出典:東京都環境局HP
参考:ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは
ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。
出展:国土交通省HP
長期優良住宅の基準とは
認定長期優良住宅(いわゆる長期優良住宅)と認定低炭素住宅(いわゆる低炭素住宅)が該当します。
出展:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の概要について【新築版】
まとめ
2022年の住宅ローン控除は、前年に比べると条件は下がったものの引き続き大型の減税となります。
また、省エネルギー性能や持続性の高い建物などの新しい基準ができ、減税対象額も比較的多くなっています。
高い性能を求めることはコストアップにつながる面もありますが、減税やライフタイムのエネルギー削減効果、住み心地などを含めるとトータルではプラスになることが考えられるかもしれません。
こういった政府からの優遇税制はタックスプランニング上でプラスとなることがありますので、じっくりと検討していきましょう。