最近食料や、電気、ガソリン、製品価格など価格が急上昇し、生活に心配を感じていらっしゃる方も多いかもしれません。
物の価格の変動は何を原因としていて、お金の価値にどのように影響するのでしょうか。
それではさっそくみていきましょう。
物価の日々の生活への影響
今まで100円で買っていたニンジンが、110円で売られていたら多少上がってしまったけど仕方ないと思える程度かもしれません。
1品1回だけなら10円にすぎませんが、価格は10%も上昇しているということになります。
それでは生活費全体でみるとどうでしょう。
仮に20万円の生活費に対して10%の物価上昇があった場合22万円、今まで年間240万円でよかったものが264万円必要になり、同じ生活をするには24万円分足りません。
見方を変えるとお金の価値は10%近く減少しているということになります。
いきなり全体が年に10%上昇というケースは、考えにくいかもしれませんが、仮に年1%上昇していくと10年後には10%を超えることになります。
何が物の価格を決める?
物の価格が上昇する大きな要因の一つは、需要と供給です。
日々の野菜や果物などの食材は、天候不順により不作で供給が減ると値段があがり、豊作で供給が増えると値段はさがります。
食料は年度によって需要が大きく変わることはないためわかりやすいかもしれません。
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻は石油や天然ガス、小麦などの流通と供給が大幅にストップすることにつながり市場価格は急上昇しました。
身近な例ではガソリン価格は2021年5月に150.6円だったものが2022年5月時点では171.1円と約13.6%上昇しています。
2021年も2020年から20.7%上昇しており、2020年から2022年の比較では約37%の上昇です。
出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」を加工
政府の政策により補助金がでているため実際の取引価格の上昇よりも抑えられていますが、それでもこれだだけの上昇率となっています。
過去の物価推移
日本は長い間物価は下落傾向であったため、物価上昇(インフレ)に対してそれほど気にすることもなかった方も多いかもしれません
過去をさかのぼってみると、1971年から1991年までの21年間で2%を超えた年は18年ありましたが、1992年から2021年までの30年間で2%を超えたのは2014年の1年のみです。
出典:総務省「消費者物価指数」より引用
しかし、2022年は物価の上昇の影響をはっきりと感じた方が多いのではないかとおもいます。
物価上昇の目標値は2%
米国やEUなどの中央銀行は安定的な2%の物価上昇を目標にしていて、実は日銀も2%の上昇を目標にしています。
この目標を実現するために政策金利を決定します。
景気が低迷しているときは金利を下げることによりお金が市場にまわり、景気が上向いて需要が増えるという流れを期待します。
先の例の通り日本ではこれ以上下げられない0%金利を長いこと継続してきましたが、景気は低迷が続きこの30年間で2%を超えたのは1度だけです。
景気が良くない状況での物価上昇の中で日本銀行のとれる政策も限定的と見込まれています。
物価に影響を与える為替レート
現在の物価上昇と景気の過熱に対して米国の中央銀行は金利を上昇することが見込まれました。
一方で日本は物価が現在のように上昇基調でもあげることが難しい状況です。
政策金利を上げることは景気の過熱を抑えることにつながりますが、そもそも景気がよいといえない日本であげてしまうとさらに景気の悪化を招くおそれがあるからです。
米国の金利が上昇する一方で、日本の金利が低いままであれば、金利が高い通貨である米国にお金がながれることになります。
そうすると円安が進むことになり、円安は物価の上昇につながります。
日本は資源に加えて多くの食糧品、資材、製品を輸入に頼っています。
最近、多くの食料品が値上げになり、また、これから値上げを予定している食品関連会社も多くあるというニュースを聞いた方も多いでしょう。
円安となり円の価値が下がれば、仮に現地の商品価格が同じでも購入するには多くのお金を払わなければなりません。
110円が130円に円安に進むと円の価値は15%以上低下したことになります。
輸出によって外貨を稼ぐ日本企業にとっては、円安はプラスの材料となる面もありますが、一般消費者にとってはマイナスに作用することが多くあります。
円安があなたのお金の価値をむしばんでいく?
物価そのものの動きとは別に、輸入にたよる日本では為替の影響により今持っているお金の価値は、知らない間に毀損しているということが十分ありえるのです。
旅行にでもいかなければ為替レートは特段気にしないという方も多いと思いますが、日々の生活に影響しています。
これは見方を変えると、好む好まざるにかかわらず為替レートの変動リスクは生活へ影響し、円をもつということは積極的に選択しているわけではなくても、円が安くなり資産価値が相対的に減少するかもしれないリスクをとっているということもできます。
いずれにしてもどのようなリスクがあるかを知り、どのリスクを選択していくかをしっかり検討しておくことが大事です。