住宅を購入するということは、借地の場合を除き土地と建物を所有することになります。
土地と建物を全て一人の名義にすることもできれば、それぞれに名義を分けたり、両方にご夫婦の持ち分を自由に設定したりすることもできます。
上記のどれであっても登記上では問題ないのですが、住宅ローン減税の視点からみると注意が必要です。
住宅ローン減税の効果はとても大きいですが、建物に持分がなければ住宅ローン減税の対象になりません。
従って、世帯主が土地と建物100%の持ち分で登記し、連帯債務で住宅ローンを組んだとしても配偶者は住宅ローン控除をうけることができません。
また、持ち分を設定した場合でも住宅ローン減税の対象にならないケースがあります。
例えばご夫婦で世帯主が土地100%、配偶者が建物に100%の持分として所有権を設定すると建物に所有権のない世帯主は住宅ローン控除が受けられないのです。
これだけで数百万円が泡になってしまう可能性がありますので、建物に持分を設定するということを忘れないでください。
さらに、注意すべきとして土地と建物の持分割合をどうするかという点があります。
下記の例では、収入の高い世帯主の負担割合を高くして、その分住宅ローン控除を多く受けようとしたケースです。共有財産なので持ち分は平等に半分ずつという考えです。
住宅ローンの負担割合は世帯主が70%配偶者30%、持ち分は世帯主50%配偶者50%としています。
世帯主 | 配偶者 | |
住宅購入額 | 5000万円 | |
住宅持分割合 | 50% | 50% |
住宅持分額 | 2500万円 | 2500万円 |
住宅ローン借入額合計 | 5000万円 | |
連帯債務借入70%vs30% | 3500万円 | 1500万円 |
所得税,住民税(控除可能額) | 60万円 | 30万円 |
初年度住宅ローン減税対象額 | 最大25万円 | 最大15万円 |
世帯主は借入額が3500万円なので最大35万円の控除を考えているのですが、住宅持分を50%に設定したため、持分額は2500万円ということになります。そうすると35万円ではなく、この2500万円の1%となる25万円が最大の控除額となります。
配偶者は持分上では25万円まで控除を受けられる可能性がありますが、住宅ローン借入割合を30%としたため1500万円の1%にあたる15万円まで控除対象となります。組み方次第では二人合わせて最大50万円の控除となる可能性がありますが、このケースでは最大40万円となっています。
これらの割合は、この後もずっと計算の基準になるので、住宅ローン控除期間の10年間にわたって影響していきます。
これに頭金が加わるともう少し複雑になります。
下記は、世帯主の手元資金から1000万円の頭金を拠出したケースです。
5000万円の購入額に対して頭金を1000万円入れたので借入金は4000万円となります。
住宅ローンの負担額2800万円に対する28万円の控除を考えています。
世帯主 | 配偶者 | |
住宅購入額 | 5000万円 | |
住宅持分割合 | 50% | 50% |
住宅持分額 | 2500万円 | 2500万円 |
頭金 | 1000万円 | 0円 |
住宅ローン借入額合計 | 4000万円 | |
連帯債務借入70%vs30% | 2800万円 | 1200万円 |
所得税,住民税(控除可能額) | 60万円 | 30万円 |
初年度住宅ローン減税対象額 | 最大15万円 | 最大12万円 |
しかし、そもそも住宅の持分額が2500万円で、そこに1000万円を拠出しているので世帯主が負担すべき住宅ローン額は1500万円となり、控除対象となる最大の金額は15万円ということになります。
一方で配偶者は住宅ローン負担額1200万円に対する12万円です。
住宅ローン額が4000万円なので最大の控除可能額40万円に対して、上記では27万円の控除可能額となります。
持分割合の設定を間違えると、せっかくの住宅ローン減税上のメリットが全く受けられなかったり、希望していた控除額ではなくなったりしてしまう可能性があります。
持ち分と住宅ローン割合、頭金の拠出人と割合、所得税や住民税の額の推移等を十分考慮して最適な組み合わせを目指しましょう。
その他の持分割合の事例もご覧ください⇓
≫【土地建物の持分割合 妻との持分割合はどうすべき?これだけは避けたい失敗事例No2】
より学びたい人は、
『住宅購入で最低これだけは準備しなければならない7つのステップ』7日間無料メール講座へ こちら!